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茶器と私


● 桃山から現代へ

作品に込められた「“という時代」に、どのように向き合っているのか・・・

この問いに応えられなければいけない。

● 茶陶

陶芸の世界には、“茶陶”と言われる分野がございます。お茶道具を作る人達です。

陶器で代表されるものは、茶入・茶碗・水指です。ですが、一般に使われている食器や花器・酒器も、基はお茶道具から来ているものが多いです。

お茶道具で大事なのは「3要素」です。

なり・ころ・ようす これが揃っているかが大事です。

なり(形) ころ ようす

用に基づいた形

(形がいいということ)

暗黙の内に決まってくる大きさ

(使いやすいほどよい大きさ)

醸し出す雰囲気

 

そして、条件約束事 です。

「5条件」
品格 品位や雅味(がみ)を感じ、犯しがたい風格をいいます
侘び

渋味、寂の覚味をさします。茶碗が心に触れて思いを起こし、空間の美的趣味を感ずることです。つまり侘び茶碗は“疵”や“繕い”があったり、火間や釉薬のかけはずしなどのあるものが多いです。また『見わたせば花も紅葉もなかりけり うらの苫屋の秋の夕暮れ』の古歌に現れた、秋の夕暮れに感じられる風情です

量感 拡張感をいいます。つまり小さい茶碗でも大きな尊重感を覚えるもので、「広さ」「深さ」「大きさ」の威厳を感ずることです
力感 積極的な圧力感を覚えるもので、その力強さや威圧感をさします
浄感 清浄感のことで、茶道でいう、和敬清寂(わけいせいじゃく)に合致する茶碗をさします

茶陶は、用の美ですので完全美は求めません。

あと一歩の美(物足りなさ)、そこが美しいのです。

 

いいかえれば、それが魅力です。

● 口縁の広がりについて

口縁の広がりは、開放感を表し、口縁の内側にすぼまったのは、内への力を込める求心(物事を内面に深く掘り下げようとするさま)である。これこそ利休の茶に対する考えである。

一文字型の無機物の茶碗が生きている様に見せるため、口縁に少しうねりを付けることがある。又、腰の線にも部分的にヘラを入れて動きをだす場合も多い。ここちよいゆがみ。